2013-01-01から1年間の記事一覧
マンションの機械式駐車場浸水事故に関する裁判例(東京地裁平成25年2月28日判決)をご紹介します。 地下に収納される機械式駐車場の場合,台風などの影響で大雨が降ると,雨水が地下に流入して,地下に格納されていた自動車が浸水し,使い物にならなく…
マンション内の騒音問題で,その騒音が違法と評価され不法行為を構成するか否かについては,いわゆる受忍限度論(一般生活上,受忍すべき限度を超えているか否かを基準に,超えていれば違法と評価する基準)によって判断されることから,当該騒音が受忍限度…
マンション内の騒音問題で加害者に対して損害賠償を請求をする場合,賠償を求める「損害」が,騒音を原因として発生した損害であること(因果関係)を立証しなければなりません。無限定に損害の賠償が認められるわけではありません。例を挙げて,みてみまし…
マンション内の騒音問題に関する訴訟においては,基本的には,不法行為に基づき損害賠償の支払を求めいくことになります。争点としては,受忍限度を超える騒音の有無です。では,受忍限度を超える騒音があると裁判所に認めてもらうためには,どのような立証…
マンションの騒音問題で,悩んでいる方は,騒音を出している人に対して,なにをいうことができるでしょうか。 まずは,「騒音をやめてほしい,」という請求が考えられます。 いきなり裁判ではなく,口頭,お手紙でお願いすることになります。 一向に解決でき…
マンション内の騒音についての話題です。マンション内の騒音問題というと何を思い浮かべるでしょうか。裁判沙汰になるケースもちらほら見受けられますが,騒音問題については騒音の種類によって大きく2つに分類することができます。 1つは,「生活騒音」で…
突然ですが,「成年後見制度」という制度をご存知でしょうか。 成年後見制度とは,成年後見人等による適正な財産管理を通じて,例えば,認知症などで判断能力が低下した方々(の財産など)を保護しよう,という制度です。成年後見人に管理してもらう側の方に…
区分所有権が共有状態にある場合の議決権行使に関する話題です。 そもそも,どのような場合に区分所有権が共有状態となるかですが,例えば,夫婦でマンションを購入し,夫婦共有名義とする場合や,死亡した単独の区分所有者の相続人が複数いる場合が挙げられ…
区分所有法では,区分所有者や占有者に対して,他の区分所有者の共同の利益に反する行為を禁止しています(6条)。 共同の利益に反する行為をしている区分所有者・占有者に対するための制度も規定されています。 その一つに,マンションを賃借している占有…
区分所有法では,6条で区分所有者の義務が規定されています。 「共同の利益に反する行為」をしてはいけない義務です。 その義務に違反した場合に取り得る制度について,57条以下,規定されています。 義務違反者が,A 区分所有者である場合と,B 賃借人…
ペットが飼える新築マンションを購入したはずが,ペットを飼うことを禁止されてしまった場合,そのマンションを販売した業者に対して,説明義務責任違反で損害賠償できないか,という事案がちらほらあります。 マンションを販売する業者の,どのような義務違…
マンションでペットの飼養を禁止していたり,制限しているにもかかわらず,それに違反している場合の話です。 動物の飼育を禁止することを裁判所に請求する事案は多くあります。 その際,特に悪質な場合には,不法行為が成立し,それに基づいて損害賠償請求…
マンションによっては,ペットの飼育を許可している所もあります。 そこでは,飼養細則・飼育規則(呼び方は様々)がもうけられているのが通常です。 ところで,なぜペットの飼育について,規制が必要なのでしょうか。 一般的に,ペットを飼うことで,①異臭…
現にペットを飼っている人がいるマンションで,規約・使用細則に基づいて,ペットの飼育を禁止する際には,難しい問題が生じたりします。 当初から禁止されているのであれば,それを守るべきだというのが裁判所の建前です。 しかし,最初は飼っていて良かっ…
マンション内のペットの飼育に関するトラブルは多くあります。 禁止したい管理組合と飼育したい組合員との折り合いが合わずに訴訟になる例も少なくありません。 訴訟になった場合の裁判所の判断傾向についてみてみましょう。 被告がよくする反論の一つに,管…
理事長,理事らが,管理費を,管理規約に定められた使用目的外のことのために支出するなどしている場合,以後これらの行為をやめさせるためには,どのようにすればよいのでしょうか。 一つの方法としては,理事長,理事らを解任する請求を裁判所にすることが…
管理者が解任された事例を紹介します。 その前に,若干の用語の説明です。 「管理者」というのは,何でしょうか。 区分所有法上の概念です。 26条で権限が認められており,共用部分・敷地等を保存し,集会決議を実行し,規約で定めた行為をする権利を有し…
工事をするための決議について,普通決議か特別決議か,について,管理規約からみてみます。 まず,標準管理規約では,47条3項をみてみましょう。 「3項 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は,前項にかかわらず,組合員の総数の4分の3以上及び議…
例えば,水道管工事をする際,管理組合総会の決議をとることにしたとします。 特に,水道管工事ともなれば,多額の費用がかかる場合があります。 そのような場合,総会の決議は,普通決議によるべきでしょうか,特別決議によるべきでしょうか。 「水槽取替工…
修繕工事を巡る,組合内のもめ事は数多くあります。 中には,不要な修繕工事を行ったことを理由に,理事長らを解任請求をする事例も見受けられます。 不要な工事かどうかの判断はどのようにすればよいでしょうか。 東京地裁平成16年12月24日判決で,参…
「代位行使」という制度についての解説です。 どのような制度でしょうか。 「管理組合B」が「管理会社A」に支払うべき管理委託料を支払っていないとします。 一方で,「組合員C」が「管理組合B」に支払うべき管理費を支払っていません。 管理会社A → 管…
裁判例の紹介です。 エレベーターを使っていない1階の区分所有者が,エレベーターを利用しないことを理由として,その費用を徴収されていたとして,返還を求めたことについて,判断した裁判例があります。(東京地裁平成16年12月21日判決) 裁判所は…
中間取得者の管理費等の支払義務についてです。 中間取得者というのは, 元々の所有者(A)から所有権を取得したもの(B)がいて,現在の所有者(C)とした場合,Bのことをいいます。 区分所有法8条では,元々の所有者が管理費等を滞納していた場合,特…
情報開示に関する話題です。 通常管理規約では,情報の開示に関する規定があります。 組合員等が管理組合(理事長)が保管する書類を閲覧することができます。 標準管理規約であれば,どのように規定されているでしょうか。 ・総会の議事録であれば,49条…
管理組合運営とプライバシーの話題です。 昨今,個人情報保護法の存在により,個人情報を開示することで,プライバシー侵害があるのではないか,という関心が高まっています。 プライバシー侵害であると訴えられるリスクを回避すべきなのは,いうまでもあり…
マンションに関わる事件のなかには,名誉を毀損されたとして不法行為に基づく損害賠償を請求するケースがあります。 管理組合の役員がらみでの名誉毀損事例が多いといえます。例えば理事長の権限逸脱などの行為を非難する発言や文書の配布が名誉毀損にあたる…
あるマンションの組合員が管理組合に対して支払うべき管理費等を滞納していたとき, その債務者が管理組合に対して何らかの債権を有している場合, その債務者は相殺を主張してきたとします。 管理組合は,その相殺はできないと主張することはできるのでしょ…
管理会社が行う滞納マンション管理費等の督促業務の範囲がどこまでかが争われた裁判例(東京地方裁判所平成15年(ワ)第21884号,平成16年(ワ)第8217号・平成18年7月12日判決)をご紹介します。 管理組合は,マンション管理費等の滞納問…
管理組合の理事の皆様へ 管理会社からの定期的な報告で管理費や修繕積立金の滞納問題が生じていることが発覚した場合は,理事の皆様はどうされていますでしょうか。 管理会社との間における管理委託契約には,通常,滞納管理費の督促が規定されています。そ…
マンションの管理費を滞納している人が破産した場合,マンション管理費を請求できるでしょうか。 管理費等請求が破産債権であれば,破産(免責)によって,支払わなくてもよくなります。 破産債権であれば,請求することはできません。 ただ,理論上,厳密に…