マンションとペット 裁判所の考え方 規約・飼養細則の有効性について
マンション内のペットの飼育に関するトラブルは多くあります。
禁止したい管理組合と飼育したい組合員との折り合いが合わずに訴訟になる例も少なくありません。
訴訟になった場合の裁判所の判断傾向についてみてみましょう。
被告がよくする反論の一つに,管理規約の禁止条項が無効であるという主張があります。
これに対しては,裁判所はどのような判断をとるでしょうか。
区分所有法6条1項(共同の利益に反する行為をしてはならない)を掲げる場合があります。
「共同の利益」というのがキーワードです。
「共同の利益」とうのは,どのようなことでしょうか。
マンションというのは,性質上,一棟の建物に多数の区分所有者等が近接して居住している形態をとります。そこでは,各人が好き勝手にしてしまっては,他者の迷惑になることが多くあります。各区分所有者は建物の使用に当たり,一定の制約を受けることは性質上必要不可欠です。共同の利益というのは,各区分所有者みんなが快適に暮らせるための利益,みたいなことです。この共同の利益を確保するために,各人が少し我慢しなければならないということです。
裁判所は,共同の利益を確保すべく,飼育の禁止については,それなりの合理性があるとして,無効とはいえないと判断する傾向にあります。
マンションに住む以上は,近接した他者がいる以上,一戸建てに住むのと違い,制約を受ける場合があるということです。