理事長の暴走を阻止する方法 職務執行の仮処分
理事長,理事らが,管理費を,管理規約に定められた使用目的外のことのために支出するなどしている場合,以後これらの行為をやめさせるためには,どのようにすればよいのでしょうか。
一つの方法としては,理事長,理事らを解任する請求を裁判所にすることが考えられます。
ただ,裁判所に訴えて,請求が認められるためには,時間がかかってしまいます。
その間に違法行為をされてしまっては,組合の損害を避けることができません。
直ちにやめさせることはできないものでしょうか。
いわゆる仮処分命令を裁判所から出してもらうように申し立てる方法があります。
具体的には,職務執行停止の仮処分と,職務代行者選任の仮処分です。
これが認められれば,すみやかに現在の理事長らの権限を凍結し,代わりの人が理事長らの職務を執行することになります。
その間,理事長らの解任について訴えを提起することになります。
仮処分が認められるにはどうすればよいのでしょうか。
2つの要件を満たす必要があります。
一つは,保全される権利の存在と保全の必要性が要件となります。
かみ砕いていうと,例えば,理事長らが規約に反する行為を行おうとしているときに,
その行為は解任事由に当たります。解任請求をする権利が存在することになります(保全される権利の存在)。
また,規約に反する行為が正に行われようとしており,行われてしまえば,組合に損害が生じることが差し迫っていることが必要です(保全の必要性)。
仮に職務執行の停止が認められると,実際の組合運営に支障を来すので,適任者を代わりに選任してもらう必要があります。これが職務代行者選任の仮処分です。
速やかに仮処分を認めてもらうには,裁判官を説得させるだけの下準備が必要です。準備ができなければ,単なる憶測に過ぎないとして,退けられかねません。専門的な技術などが要求されるところなので,是非とも専門家に相談されるとよいと思います。