不要な修繕工事? それを理由に理事の解任請求できる基準 裁判例
修繕工事を巡る,組合内のもめ事は数多くあります。
中には,不要な修繕工事を行ったことを理由に,理事長らを解任請求をする事例も見受けられます。
不要な工事かどうかの判断はどのようにすればよいでしょうか。
東京地裁平成16年12月24日判決で,参考になる箇所がありましたので紹介します。
そもそも解任請求に関する法律上の規定をみますと,
区分所有法第25条2項で,「管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情」があるときに,区分所有者は,その解任を裁判所に請求できるとあります。
これを工事が必要かどうかの判断でみると,
上記判例は,
「単に当該工事が結果的に不要であったというだけでは足りず,少なくとも,提案当初の段階から不要であることを十分に認識していたか,もしくは,不要であることが一見して明白でありながら重大な不注意によってこれを認識しなかった場合であり,かつ,結果において管理組合に重大な経済的損失を与える危険が生じたなどの事情が不可欠である」
と述べています。この事情があって初めて,「職務を行うに適しない事情」といえるわけです。
実際に裁判になれば,具体的な工事についての,工事を行うに至った経緯,例えば,水漏れがあったとか,調査の結果工事が必要と指摘されたとか,設備の耐久年数との関係,募集の方法や金額など,具体的にみることになると思います。
なかには,急を要する工事が必要な場合もあるかもしれませんが,独断で勝手に注文するのは,リスクがあるので,注意が必要です。