工事をするための決議 普通決議か特別決議か① 裁判例
例えば,水道管工事をする際,管理組合総会の決議をとることにしたとします。
特に,水道管工事ともなれば,多額の費用がかかる場合があります。
そのような場合,総会の決議は,普通決議によるべきでしょうか,特別決議によるべきでしょうか。
「水槽取替工事」,「水道管工事」について,普通決議か特別決議か判断した事案があります。
(東京地裁平成15年11月26日判決)
めやすとしては,経年劣化,老朽化により,その手当が必要であれば,共用部分の「管理」に関する事項といえ,普通決議で足りるとしています。共用部分の管理のために必要なものであり,共用部分の「変更」とまではいえないということです。
そして,工事に要する費用が多額であることをもって,「変更」にあたるとは解することはできない,と判断されています。
余談ですが,この事案で,なぜこのようなことが争点となったのでしょうか。
この事案は,理事長解任請求事件です。
原告は,理事長が,今回の工事についての総会決議で,特別決議によるべきなのに,普通決議によったことが,善管注意義務に反しているので,解任事由があると主張しました。
築20年のマンションでの事案でした。それくらいになると,水漏れなどのトラブルが出てくる場合がよくありますので,組合運営にあたり今まで以上に注意が必要になってきます。