マンションとペット 規約・使用細則で禁止する場合
現にペットを飼っている人がいるマンションで,規約・使用細則に基づいて,ペットの飼育を禁止する際には,難しい問題が生じたりします。
当初から禁止されているのであれば,それを守るべきだというのが裁判所の建前です。
しかし,最初は飼っていて良かったのに,途中から禁止される場合には,話が少し違ってきます。
飼うのをやめてほしい居住者と,ペットと一緒に暮らしたいという居住者。
どうしても考え方の対立が生じます。
どこかに妥協点を見いださなければなりません。
一代限りの飼育許可というのは,妥協点の中で,合理性のある手法ではないかなと考えます。
いきなり規約を改定するとか,現にある規約をいきなり適用するとかすれば,トラブルが生じやすいです。
いきなり禁止というのは,飼い主からすれば,突然ペットとお別れしなければならなくなり,承伏しかねるのも無理ないです。
他に,あるマンションでは,以下のような流れで,手続が進められました。
このマンションには,既に動物飼育禁止条項がありました。苦情が寄せられ,勧告しても応じない居住者がいました。そこで,居住者の総意で問題を解決することにしました。
①居住者の意見陳述会を開催し,意見交換がなされました。
②生活意識調査アンケートが実施されました。
③臨時総会を開催して,ペット禁止規定を改定して許可するか,ペット飼育を終了させる措置を執るべきかが審議され,ペット飼育を終了させる措置を執ることになりました。
期間は6か月。遵守事項を遵守する誓約書を取り交わし,6か月の期限付き飼育承諾書を交付し,6か月を経過してもまだ飼育しているものに対しては法的措置を施すことが決議されました。
④飼い主に誓約書を提出してもらうよう働きかけ,不服があれるものがいるので,意見陳述会を開催して(飼い主は欠席),
⑤期間の経過と共に法的措置。
結局,紛争になってしまいました。
(東京地裁平成18年2月22日判決)
組合側の主張が通ることが多いのですが,以後居住を続けることを考えると,裁判で決着するのが後味が悪いたぐいの事案です。できれば,双方納得した上で解決したいものです。