マンションとペット 飼育可能なマンションの購入と販売業者の説明責任
ペットが飼える新築マンションを購入したはずが,ペットを飼うことを禁止されてしまった場合,そのマンションを販売した業者に対して,説明義務責任違反で損害賠償できないか,という事案がちらほらあります。
マンションを販売する業者の,どのような義務違反が争われたのでしょうか。
①まず,新築物件のマンション販売業者は,購入者に対して,「制定予定」の管理規約等の内容を説明する限りにおいては,ペット飼育の可否・制限について説明する義務はあります。
(これに反する場合には,販売業者に説明義務違反があります。)
②また,将来管理組合総会で規約等が改正され,「将来ペット飼育ができなくなる可能性」についても,説明する義務があります。(この説明義務を怠れば,損害賠償請求できることになります。 下記大分地裁の事件参照)
③ただ,当初ペット飼育禁止の条項はなくとも,総会の決議により新設される可能性はあります。なので,「将来決して規約が改正されず,将来に渡りペット飼育ができる」ということまでは説明することはできませんので,このような説明義務はありません。(下記福岡地裁,東京地裁の事件参照)
余談ですが,販売業者に上記義務違反があったとしても,ペット飼育が制限されてしまえば,そのマンションでのペット飼育の途が途絶えてしまいます。
金銭的に若干の償いをいただけるだけです。
そういう意味では,ペット飼育が必要だと考えている方にとって,マンションでの生活はリスクがあります。
裁判所のHP
福岡地裁の事件(請求棄却)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=8129&hanreiKbn=04
大分地裁の事件(請求認容)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=8254&hanreiKbn=04
東京地裁平成16年9月22日(請求棄却)