区分所有法60条 建物賃貸借契約解除請求 迷惑な賃借人に出て行ってもらった例
区分所有法では,区分所有者や占有者に対して,他の区分所有者の共同の利益に反する行為を禁止しています(6条)。
共同の利益に反する行為をしている区分所有者・占有者に対するための制度も規定されています。
その一つに,マンションを賃借している占有者が共同の利益に反する行為をしている場合に,建物賃貸借契約解除請求,引渡請求をすることができる制度があります(60条)。
まずは,迷惑になっている行為をやめるように請求することから始まります(57条)。
それでも迷惑になっている行為をやめない場合には,この制度を利用します。
過去どのような事例があったかみてみましょう。
①暴力団の組長が賃借人であった場合,賃貸借契約解除請求が認められた例(横浜地裁昭和61年1月29日判決→東京高裁昭和61年11月17日判決→最高裁昭和62年7月17日判決)。
②他には,オウム真理教の教団施設として利用されていた場合に,賃貸借契約解除請求が認められた例(京都地裁平成10年2月13日判決,横浜地裁平成12年9月6日判決)。
③暴力団関係者ではないようですが,26項目にも及ぶ悪行状目録が主張されている賃借人の賃貸借契約解除請求が認められた例(東京地裁平成8年5月13日判決)。
④さらに,住居用の専用部分で会社事務所として使用をしていた場合に,賃貸借契約解除請求が認められた例(東京地裁八王子支部平成5年7月9日判決)。
⑤また,区分所有者の親族が無償で借りていたとき,その占有者が野鳩に餌付けをし続けていた場合に,使用貸借契約解除が認められた例(東京地裁平成7年11月21日判決)。
ざっと列挙してみましたが,
いずれも,6条の行為である「区分所有者の共同の利益に反する行為」について,立証がなされているわけですが,いずれの事例も,同じマンションに住んでいたらすごく嫌だな,場合によっては出て行きたいと思わせる事例です(4番目の事例については,さほど迷惑ではないのかもしれませんが,みんなで決めた規則はきちんと守りましょうということを徹底した事例でした)。