マンション内の騒音問題 ~裁判上なにを求めるか。慰謝料,損害賠償請求,管理組合が原告になった事例も
マンションの騒音問題で,悩んでいる方は,騒音を出している人に対して,なにをいうことができるでしょうか。
まずは,「騒音をやめてほしい,」という請求が考えられます。
いきなり裁判ではなく,口頭,お手紙でお願いすることになります。
一向に解決できない場合には,場合によっては,訴訟や調停といった裁判で解決を図るということもあります。
裁判で請求するとすれば,例えば,
「午後9時から翌日午前7時までの時間帯は,40dB以上の音量を到達させてはならない,」
という請求です。
(ちなみに,法律構成としては,人格権ないし所有権に基づく妨害排除請求として差し止めが可能であると考えることができます(東京地裁平成24年3月15日判決参照))。
その他に,床をフローリングに変更したことで騒音被害が生じた事例で,
「リビングの木製床を撤去した上で,○○の材料及び仕様によって復旧工事せよ」
という請求をした原告もいました。
精神的に参ってしまった場合には,慰謝料を請求できる場合もあります。
病院に通ったり,やむを得ず避難したりした場合の出費は,損害賠償請求できる場合もあります。
損害額については,またの機会にコメントしたいと思います。
一つ,裁判になったケースを紹介します。
親族から使用貸借して居住している住人が,騒音・振動・悪口などの迷惑行為をしていた事例です。
管理組合(理事長)が,原告となり,
居住者と区分所有者との使用貸借契約の解除及び専有部分の引渡請求,
並びに,
専有部分の競売の申立請求をもとめた事例がありました(東京地裁平成17年9月13日判決) 。
通常,下の階の居住者が原告になることが多いのですが,この事例では,管理組合が原告です。しかも,請求の内容が,端的にいうと,出て行ってください。というものです。
結論として,原告の請求が全面的に認められました。判決書きでは,20人近くの被害者の被害状況が認定されており,中には,深刻な睡眠不足に悩まされた人もいました。
騒音問題を超越して,迷惑行為が問題となっています。