訴え提起と総会決議・理事会決議 スムーズに法的措置に及ぶために。
マンション管理費・修繕積立金の滞納問題が生じたときに,ある段階に至れば,支払督促の申立や通常訴訟の提起を決断しなければならないときがきます。その際,管理組合の総会や理事会で決議をする必要がありますが,今回はそのおさらいです。
標準的な管理規約ではどうなっているのでしょうか。
支払督促の申立や通常訴訟の提起については,「理事会の決議」で足りるとされています。総会の決議ではない点で機動的に対の管理費を回収するための措置がとれるようになっています。ただし,「総会決議」が必要な場合もあります。それは,競売請求訴訟の場合です(区分所有法59条)。しかも定数2/3が必要です。
支払督促の申立や通常訴訟の提起について「理事会の決議」で足りるといっても,実際には予算の関係での配慮が必要だったりします。管理組合の本人訴訟であれば,弁護士費用を考える必要はありませんが,弁護士に依頼するということであれば予算を組む必要があったりします。また,不動産強制競売の申立など一時的にせよ60万円の予納金のように,まとまったお金が必要だったりもします。こうなると,理事会決議ではなく,あらかじめ予算を確保するための決議としての総会決議を経ることになるでしょう。
滞納管理費問題のために,管理費の予算の枠を確保しておくとか,総会決議の時期・タイミングを見計らって法的措置に及ぶという配慮があると,スムーズにことが運ぶことが多いです。