マンション管理費は5年で時効消滅 対策は?
平成16年の最高裁判例で,マンション管理費は5年で時効消滅すると判断されました。時効消滅させないための対策はないものでしょうか。日を追う毎に順次消滅し続けてしまうので,早めの対応が必須です。
判決で債務があると確定された場合には時効期間は10年に延びます。また,判決を取らないにしても,訴訟を提起し裁判上で和解した場合でも10年に延びることになります。したがって,訴訟を提起し滞納マンション管理費の支払いを積極的に求めていくということには,消滅時効の完成を防ぐ,という重要な意味があります。
こんなケースもあります。
長期滞納している方に対して訴えを提起して,判決を取りました。しかし,めぼしい財産はありません。月日は経ち競売になってしまいました。オーバーローンで,配当はなく,競売手続は終了しました。競落人から回収するしかありません。このころには,100万円以上になってしまています。そこで,競落人(特定承継人)に対して,滞納マンション管理費を支払うように請求しました。結構高額です。競落人は滞納マンション管理費があることを承知で競落しています。そして,言います。「時効で消滅している部分については,支払わないよ。」と。鬼の首を取ったよう。これに対しては,「債務名義があります。時効は10年です。遅延損害金も含めて耳をそろえて払ってください。」と教えてあげます。すると,「勘弁してください」となります。
いわゆる3点セットからは債務名義の存在が判別できない場合もあるのでしょうか,「時効消滅を主張して管理費は支払わない。」という思惑はあっけなく消えてしまうのでした。
滞納者にめぼしい財産が見つからないからといって直ぐに諦めるのではなく,時効中断のためにもまずは訴訟を提起するなどして判決を取得しておきましょう。マンション管理費の場合,特定承継人に支払義務が引き継がれていくという他の一般の債権とは異なる特殊性があることから,消滅時効の完成を防いでおくことを怠ってはいけません。