相続人は誰? マンション管理費を滞納していた所有者が死亡した場合の調査
マンション管理費・修繕積立金を滞納している原因の一つとして,実は所有者の方がお亡くなりになっていた,という場合もあります。
その場合,相続人が管理費・修繕積立金の債務を相続するので,相続人に対して請求することになります。
なお,債務者が複数人いる場合もあります。既に滞納している管理費等については,それぞれの相続人に対して相続分に応じて請求します。相続後に発生した分については,それぞれの相続人に対して全額請求します。
前提として,相続人が協力的であれば,特に問題はないのです。マンションの登記簿に相続登記が入っており(新たな組合員が確定),滞納が解消すれば,正常化します。
ここでは,協力的でない場合,マンションを誰が相続したのか不明な場合についてです。
まずは,役所から戸籍などを取り寄せて,相続人が誰なのかを特定します。遺産分割協議が終わっておらず,マンションの登記簿に相続登記が入っていなければ,誰が相続したか特定できません。
そして,相続したかどうか,逆にいうと,相続人が相続放棄をしているかどうかを調査します。
方法としては,お亡くなりになった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で,その方に関する相続放棄の申述がなされたかどうかを照会するという方法になります。
その上で,東京家庭裁判所に相続人による「相続放棄の申述の有無の照会」を申し出ます。
回答が出るまでに1か月以上時間がかかってしまいます。思ったより遅いです。データで管理しているのであれば,検索してすぐに回答がでてもいいものなのに,とわがままな気持ちになりがちです。忘れた頃にもらえます。
相続人を調査する方法としては,他に「公正証書遺言」の検索をしたりします。
公証役場に行き,お亡くなりになった方が公正証書遺言をしているか(無料で)検索できます。遺言をして受贈者が分かる場合もあります(もっとも,遺言がある場合には相続登記されており,不動産の登記簿をみれば分かることが多いと思われます。)。
このようにして,仮に相続放棄がなされていないという段になりましたら,早速相続人に請求のお手紙をお出しして,お支払いしていただくことになります。
なお,以上の手続は誰でもできるわけではないです。本人とか,相続人とか,利害関係人ができます。管理組合としては,利害関係人として申請者の資格を有することになります。