滞納マンション管理費回収における「方針転換」
滞納したマンションの管理費・修繕積立金をきっちり回収するためには,時間がかかる場合があります。
そのような中,道半ばで,方針転換をする機会が訪れることがあります。
例えば,「マンション管理費等請求訴訟」を提起して,債務名義を取得し,「財産を差し押さえよう」という方針だったとします。訴訟をするので,半年とか時間がかかります。
ところが,ある日,「他の債権者」から「競売」を申し立てられた,ということも少なくないです。
競売手続が進めば,マンションの所有権は特定承継人に移ります。この特定承継人から管理費等を回収する余地が生まれるわけです。
つまり,ここで,「財産を差し押さえよう」という方針から,「特定承継人から管理費等を回収をする」という方針に,「方針転換」があったりします。
他に,債務者が「破産」してしまったりすることも少なくないです。
破産手続でも,マンションは任意に売却されるか,競売手続が始まるかします。
いずれにしても,特定承継人に所有権が移転し,その「特定承継人から管理費等を回収する」という方針転換をしたりします。
考え方によっては,いずれ「競売」,「破産」をするのだから,そのときに便乗すればよい,というものもあるかもしれません。
ただ,それがいつなのか,判然としないのが通常です。
しかも,マンション管理費請求権には,5年による時効消滅というリスクがあります。
また,特定承継人から,必ず全額回収できるか,不透明であるというリスクも考えられます。債務名義なければなおさらです。
このように,ただ単に指をくわえて放置するということができない場合もありますので,注意が必要です。