滞納マンション管理費を不動産競売で回収~先取特権に基づく方法
滞納したマンション管理費・修繕積立金等を回収する手段の一つに,そのマンションを「競売する」という方法もあります。
一般的に,不動産を競売するためには,大きく分けて二つの方法があり,
一つは,担保権(例えば抵当権)を実行する方法と,
もう一つは,債務名義(例えば判決・支払督促・公正証書)をつかってする方法とがあります。
債権がマンション管理費・修繕積立金であれば,そこには「先取特権(さきどりとっけん)という担保権がついています。法律が認めた特別な「おまけ」です。
なので,滞納マンション管理費等を回収するためには,債務名義がなくとも,先取特権という担保権に基づいて競売を申し立てることができるのです。
一般の貸金などと異なり,法律によってマンション管理費等は手厚く保護されているのです。
もう少し具体的にいうと,
判決や支払い督促を取得するにしても,場合によっては何ヶ月かかかってしまいます。
公正証書も債務名義の一種ですが,作成のためには債務者との合意が前提となります。公証役場との打ち合わせなど,結構手間暇かかります。
それに比べれば,先取特権があれば,そのような手間暇時間を掛けず,速やかに競売をすることができるのが最大のメリットです。
ちなみに,マンションを売り払ってしまうという重要なことがらなので,不動産の他に財産がないかなど,ある程度の調査が必要ですが。
以上のような魅力的なメリットはあるのですが,実際は,なかなかこのおまけの担保権を実行できる場合は多くないのです。この件についてはまたの機会に掲載予定です。