不動産競売で滞納マンション管理費を回収すべきか?~無剰余
滞納したマンション管理費・修繕積立金等を回収する手段として,不動産を競売するという方法があります。
債務名義がなくても(訴訟を提起して判決を取らなくても)先取特権に基づいて競売することができます。→滞納管理費を不動産競売で回収~先取特権に基づく方法
今回の話題は,不動産競売を申し立てるべきかどうかの判断に関するものです。
キーワードは「 無剰余 (むじょうよ) 」。
無剰余というのは,かみ砕いていうと,申し立てた債権者が競売代金から配当を得られない状態,ということです。
無剰余だと,(回避措置をとらない限り),申し立てたものの,手続が途中で終わってしまいます。無情です。
なので,申し立てる際には,剰余があるかどうか,調査が必須です。
不動産登記簿をチェックして,たいていは抵当権がついているので,慎重に判断しなければなりません。税金の滞納があるのかどうかとか,残りの住宅ローンはいくらなんだろう,とか,不動産の価値はどれくらいなのかとか。
競売手続では不動産鑑定士に不動産を評価してもらうのですが(3点セットの「評価書」),その評価は市場価格よりも低い傾向にあります。優先する権利者(特に税金関係)も実は存在していたりします。結構な余剰が見込めない限り,実際はこの申立はなかなか難しいのが実情だと思われます。
マンション管理費等については,先取特権という担保権がおまけでついており,債務名義がなくても,このマンションを競売することができるのですが,この理由から,なかなか先取特権をつかって競売をするケースは多くないのが実情です。
まれに抵当権がついていない「きれいな物件」に巡り会うこともあります。そのときには,たっぷりと剰余がある可能性があり,お宝を発見できたような喜びがあります。
なお,無剰余の場合,取るべき方法(回避措置)については,下記リンク先(民事執行センター)に記載されています。抵当権者と交渉して同意を取り付ける,という方法もありますが,困難を極めるか門前払いか。難しいところです。
東京地方裁判所民事執行センター
http://www3.ocn.ne.jp/~tdc21/hudousan/h-butumei/muzyouyo.html