特定承継人が債務者に対する求償 裁判例
競落人が滞納管理費を管理組合に支払った場合,元の所有者に対して求償をすることができるか,について,判断した裁判例があります。
管理組合・管理会社からすれば,さほど関心が高くないと思いますが,裁判所HPに掲載されている裁判例なので,紹介です。
結論としては,競落人が元の所有者に代わって滞納管理費を管理組合に支払った場合,競落人は元の所有者に対して,求償をすることができる,と判断されております。
競売手続のなかで,物件価格を評価する際,滞納管理費分については,控除されており,その分安く競落できます。その上で,求償を認めるのは,二重取りの感じがあり,若干気持ち悪い所は否めませんが。
一般的に,競売手続になっている場合というのは,所有者の経済状態が悪化している場合がほとんどです。破産をしてしまう人も多くいます。
元の所有者が破産してしまっている場合にも求償することができるのでしょうか。
この点は,難しいと思います。
破産開始決定時に存在する滞納については,破産債権になります。破産債権については,免責許可決定が確定すると免責されます。もはや債権者は支払を強制することはできなくなります。競落人も同様です。
免責されていることも多いので,もしくは,資力がない場合がおおいので,実際,競落人が元の所有者に請求するとしても功を奏しない場合が多いと思います。
この裁判例の周辺の事情については,不明ですが,なぜ,通常功を奏しないであろう求償権の請求をしたのか,少し気になるところです。
裁判所のHPです。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=34699&hanreiKbn=03