将来給付判決を得るために 先例の意味
将来給付判決についての話題です。
そもそも,将来給付判決というのは,どのようなものでしょうか。
通常判決を取得すると,例えば,「平成24年1月から平成25年3月までの滞納分50万円を支払え」という内容になります。
しかし,マンション管理費等は月々発生するので,せっかく判決をとっても,すぐに滞納がたまってしまい,また判決を取らなければならないという事態になりがちです。
そこで,将来給付判決では,例えば,「平成24年1月から債務者がマンションの所有権を失うまでの滞納分を支払え」という内容を得ることができます。
いちいち再度判決を取らなくてもよくなります。
ところが,そのような将来給付判決については,裁判所もすぐには出しません。
なぜかというと,債務者にとって大きな影響を及ぼすからです。
一度このような判決がでると,債務者にとって負担になるからです。
仮に,債務者が滞納を解消したとしても,それをいちいち裁判所で立証しない限り,債務名義が効力あるものとして一人歩きするリスクがあります。
なので,この判決が認められるためには,それなりの事実を主張し立証する必要があります。
そして,担当する部署でこのような先例がない場合,特に判断が慎重になりがちです。
その場合どうするか。
似たような事例で、先例がありますよ,という情報を裁判所に提供します。
できれば,欠席判決ではなく,将来給付の部分について争点になっており,それについて裁判所の判断がなされているものがよいです。
将来給付判決というのは,それだけの手間暇を惜しむだけの価値のある判決です。
以前にも将来給付の訴えについて記事を掲載したことがありますので,ご参照ください。
慢性的なマンション管理費滞納に対応するために ~将来給付の訴え