マンション管理費滞納を理由に使用禁止請求 裁判例
マンション管理費を滞納している債務者に何とは支払ってほしい。
では,債務者が所有しているマンションの使用を禁止する措置をとることで,
管理費を支払ってもらうことはできないでしょうか。
じつは,このような事例が裁判所のHPで紹介されています。
使用禁止措置の根拠は何でしょうか。
これは,区分所有法第58条の使用禁止請求です。
要件として,共同の利益に反する行為が必要です。
59条の競売請求でも、共同の利益に反する行為が要求されており,
数ある裁判例で,マンション管理費の滞納が,59条の共同の利益に反する行為に当たるという判断がされています。
では,58条でも,同じことがいえるのでしょうか。
裁判所で紹介されている控訴審判決では,マンション管理費の滞納を理由に,使用禁止請求をすることはできないと判断されています。
滞納管理費により使用禁止請求が認められなかった理由は何でしょうか。
「専有部分の使用を禁止することにより、当該区分所有者が滞納管理費等を支払うようになるという関係にあるわけではなく,」
といっています。
原告は,滞納管理費等の支払が促進される教育的効果がある旨を主張しているようです。ただ,「そのような効果があるかどうかは定かではない」,「あるとしても事実上の効果に止まる」ということで退けられています。
実際,勘弁してください,といって,管理費を支払ってくるのが期待できそうな気もしますが,見解が分かれるところだと思います。
ただ,実務上,同じ請求をしたところで,この裁判例を先例にして,裁判所が判断することもあり得ることです。興味深い裁判例だと思います。
裁判所のHPです。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=2323&hanreiKbn=04