水道料金に関する裁判例 水道料に関する決議が無効とされた事例
水道料に関する判例の紹介です。今回は,水道料に関する決議の無効のはなしです。
水道・電気について,区分所有者らは水道会社等と直接契約を結んでおらず,建物全体で一括して全体の水道料・電気料を支払う仕組みとなっているマンションがありました。
そのマンションでの管理組合総会で,管理費の金額を決議しました。その管理費の内訳として,電気料・水道料が含まれていました。
電気料 管理者所定の基本料の他に消費1キロワット(個別メーター検針)あたり○円
水道料 管理者所定の基本料の他に1立方メートル(個別メーター検針)あたり○円
このような決議は,区分所有者を拘束するかということが争われました。
東京地裁平成5年11月29日判決では,そのような決議は無効であると判断しました。
理由は,
「もっぱら専有部分で使用する電気料とか水道料は,本来,区分所有者各自がそれぞれの責任で負担すべき性質のものであるから,その料金の算定を集会の決議で多数決の方法により決めることはできないと解するのが相当である。」としています。
もっとも,管理組合が立て替えて支払っています。
この点は,「予め立替払い契約を締結してその精算方法を定めておくか,あるいは,その都度,実費を計算してその償還を求めるかのいずれかによって処理されるべき」としております。
つまり,管理組合は,区分所有者に対して,償還請求をすることはできるが,「管理費としては,」これを請求することはできない,ということです。
ちなみに,この裁判例を持ち出して,争った事件もあります。
水道料金を支払えと訴えられた特定承継人が,水道料金は承継しないと主張した際,上記の理由を主張しました。結果的には,特定承継人の言い分は採用されませんでした。
水道料金の請求事件というのは,個々の事例によって,判断・結論がちがってきたりして,難しいテーマです。
水道料に関する他の記事も参照ください。
→ 水道料金・電気料金に関する裁判例 特定承継人に請求できる場合もあります。