水道料金に関する裁判例 「水道基本料」と「超過使用料」
水道料金に関する裁判例は,いろいろなバリエーションに富んでおり,個々の事例で個別的に判断されてるような印象があります。
その中でも参考になりそうな裁判例がありましたので紹介したいと思います。
熱海市にあるマンションです。
管理規約に「水道供給規定」があり,各区分所有者が管理組合に水道料を支払わなければならないとされていました。
水道料には,二種類有り,
使用量いかんに関わらず支払義務が発生する「基本使用料」と,
使用量が一定量を超えた場合にのみ支払義務が発生する「超過使用料」に分けられていました。
この事例では,特定承継人が,滞納していた水道料の「基本使用料」について,承継しないと主張をしておりましたが,結論として,承継されると判断されております。
判決文をみると,「超過使用料」については,管理組合は,請求・主張はしなかったようです。水道を使用しておらず,超過使用料が発生しなかった可能性があります。
「基本使用料」については,熱海市が使用量にかかわらず(水道を使用していなかったとしても)一律で決めているものを,管理組合がまとめて市に支払い,各区分所有者に請求しているものでした。
専ら個人的な使用分の対価,という意味合いよりも,共用部分の維持管理のための費用,という意味合いに重きを置いた判断です。
仮に「超過使用料」が請求・主張されていた場合には,どのような判断になったか,気になるところですが,判断はされておりません。
水道料には,「基本使用料」という性質を少なからず持つと思われます。
水道料というものの性質を考えるにあたり,参考になりそうなので,紹介してみました。