マンション問題解決の手引き

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弁護士 加藤貴士



水道料金・電気料金に関する裁判例 特定承継人に請求できる場合もあります。

前区分所有者が管理組合に対して支払わなければならない滞納した水道料金及び電気料金等について,売買などでマンションを取得した者に対して,請求することができるでしょうか。

 

管理組合が,水道局や電力会社と一括契約をして,水道や電気の供給を受け,

管理組合が,一括して立替払いをし,

各専有部分に設置したメーターを元に各専有部分の使用料金を算出して,

管理組合が,各区分所有者に対して請求する

という取り扱いをしているマンションで問題となります。

 

 

管理組合が,区分所有者から徴収する水道料金及び電気料金が,

区分所有法7条に規定された「規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」であれば,区分所有法8条で特定承継人に請求することができます。

 

 

 平成18年から平成20年にかけて,大阪の裁判所で係属していた事件(一審,控訴審,上告審)を紹介します(上告審 大阪高裁判決H20.4.16)。

 

(第1審) 滞納水道料金及び電気料金は,特定承継人に対して請求することができない

控訴審) 7条の「債権」であり,特定承継人に対して請求することができる

(上告審) 「特段の事情」がない限り,7条の「債権」ではないが,本件では,「特段の事情」があり,特定承継人に対して請求することができる

 

上告審では,「特段の事情」を認定する際,本件において,管理組合と水道局・電力会社とが一括契約をしなければならない特殊な事情を考慮し,微妙な判断になっています。

 

一括契約をしているからといって,必ずしも,特定承継人に請求できるとは限らないと考えられるので,注意が必要です。

 

簡単にまとめてみると,

もっぱら各専有部分で消費した料金  →  特定承継人に請求できない

共用部分の管理に関する費用  →  特定承継人に請求できる

専有部分で消費する料金ではあるが,建物の管理・使用に関する事項として区分所有者全体に影響を及ぼすような特殊な事情  →  特定承継人に請求できる

 

一つの事件でさえも,三つの審理で,それぞれ考え方が異なりました。

実際の事例において,特定承継人に請求できるかどうか,微妙な判断になり得る問題であり,難しいテーマですね。

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