滞納マンション管理費を給料から支払ってもらう 債権差押

滞納しているマンションの管理費・修繕積立金を回収する方法の一つに，「給料を差し押さえる」という方法をとる場合があります。

そもそも，給料を差し押さえるためには，まず，訴えを提起し判決を取得するなどして，債務名義を入手する必要があります。

次に，これを根拠に，債務者の給料を差し押さえてくれるよう，（債権差押命令を出してもらうよう）裁判所に申し立てます。

給料を差し押さえることで，状況が（良かれ悪かれ）打開されることが多かったりします。

ちょっと専門的に説明します。裁判所から，「債権差押命令」という命令書を出してもらいます。この命令書は，「債務者が務める会社」（第三債務者）に送達されます。命令書には，「第三債務者（会社）は，差し押さえられた債権について，債務者に対して，弁済をしてはならない」という内容です。

受け取った会社の中には，このような書類を裁判所から受け取ったこともないところもあります。担当の人（場合によっては社長）が，対応に追われます。間違った処理をしてしまうと二重払いをしてしまう羽目になってしまうので，確実に処理する必要があります。

このように，差し押さえられた事情が会社に知られることとなります。債務者としても，なんとか支払わなければならないという観念におそわれることになる場合がおおいのではないでしょうか。

いままで支払う意思をみせてこなかった債務者も，給料を差し押さえられたことによって，必死にお金を工面したりして，管理費等を支払ってくれたりします。

あるいは，もし差押が成功すれば，給料の中から４分の１を毎月回収できるので，全額回収までにさほど時間がかからなかったりする場合もあります。

中には，残念ながら自己破産してしまう方もいらっしゃいます。給料の差押が引き金になってしまうケースです。

破産手続が開始されたことにより，このマンションは任意に売却されたり，競売されたりします。売却代金の中から滞納したマンション管理費・修繕積立金を回収できる場合もあります。

いずれにしても，給料を差し押さえることは，全額回収の軌道に乗ったといえると思います。正確な職場に関する情報は貴重です。