不動産競売 「配当要求」についての説明 先取特権
マンション管理費等を滞納している人の当該マンションが競売された(競売手続が始まった)とします。
競売手続が始まった場合,どのようなことに注意すべきでしょうか。
一つには,「配当要求」をすべきかどうか,検討する必要があります。
当該マンションが落札されると,裁判所に売却代金が支払われます。その売却代金から,債権者は配当を受けることができます。債権者は,配当を受けるために,裁判所に対して,「売却代金を分けてください」と要求しなければなりません。それが「配当要求」です。
そもそも,配当要求するためには,それなりの資格が必要です。債務名義などがあれば,配当要求することができます。
マンション管理費等については,債務名義がなくても配当要求することが可能です。
先取特権がついていますから,これに基づいて配当要求をすることができます。
ところで,マンション管理費・修繕積立金については,法律により特別に保護されています。マンションの所有権を取得した人(承継人)に対しても,請求できるというところです。
もう少し具体的にいうと,配当要求しなくても(競売の手続内で回収できなくても),新たな所有者から回収することができうるということです。
他の債権者はそういうわけにはいかず,競売手続内の配当手続で回収できなければ,新たな債権者から回収するというわけにはいきません。
大変ありがたい制度になっています。
ただ,そうかといって,配当要求しなくても良いかといえば,そうではありません。
絶対必ず新所有者(特定承継人)から回収できるという保証はありません。回収を先延ばしにするリスクはあります。なので,競売手続の中の配当により回収できるのであれば,それに越したことはありません。