1階テナントでのパチンコ店の営業を禁止できるか?裁判例から 複合用途型マンション
1階テナントでのパチンコ店の営業を禁止できるか,争われた事例がありました。
はたして,裁判所はどのように判断したのでしょうか。
「共同の利益」に反する行為かどうかが争点です。
「諸事情を比較衡量して社会通念で決するのが相当である」とこの事件の判例は述べます。
諸事情を検討するポイントをいくつか上げると,
・マンションが,繁華街にあるか,閑静な住宅街にあるか,
・店舗部分と住戸部分と間に物理的な区別があるか,
・テナントのネオンサインの有無,騒音への配慮の有無,
・住宅部分を販売する際にテナントに風俗営業をする業種が入る可能性の言及の有無,
ちなみに,この事例では,「1階店舗については,風俗営業に該当する業種を営む者が入居する場合があること」の定めがありました。
最終的に,上記ポイントでテナント側の主張が採用され,「共同の利益」に反しない,という判断となりました。
思うに,「管理規約」の規定の有無は,大きなポイントになると考えられます。
仮に,明確に規約が禁止しているのであれば,たとえ実害はほとんどなくても,認められる可能性はほとんどないと考えられます。
また,「管理規約」で営業が認められるとしても,住民への実害がひどいときには,営業禁止とまではいかないにしても,ある程度の制限が課せられることが予想されます。
いずれにしても,管理組合としては,テナントでの営業について管理するために,管理規約の見直しが肝要です。