わかりやすい訴訟の提起(マンション管理費滞納) ⑥証拠
マンション管理費等請求事件における,提出すべき「証拠」についてです。
どのようなものを「証拠」として提出すべきかについて,みてみようと思います。
早速,具体例から見てみた方が,イメージがつかみやすいかと思います。
※あくまでもイメージであり,厳密なものではありませんのでご了承ください。
以下の「請求の原因」を例に挙げて,見てみます。右枠外の【 】が証拠です。
請 求 の 原 因 |
1 当事者 原告は,東京都△区△所在「△△マンション」(本件マンション)を管理する管理組合である。
□□ □□は,上記管理組合の理事長であり原告の代表者である。
被告×× ××は,本件マンションの区分所有者であり,原告の組合員である。
2 被告の管理費等の支払義務 本件マンションの管理規約により,被告が毎月納入すべき具体的な金額は,次のとおりである。 管理費 金○円 修繕積立金 金○円 合計 金○円 ・ ・
3 管理費等の滞納 被告は,平成 年 月分から,本件マンションの管理費等を支払わなくなった。
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←【管理規約】に記載があるので,【管理規約】が必要です。
←【理事長を選任した記載がある議事録】(総会の議事録や理事会の議事録)
←【不動産の登記簿】に記載があるので,【不動産の登記簿】が必要です。
←【管理規約】に記載があるので,【管理規約】が必要です。
←【管理台帳】などがあると良いでしょう。
だいたいのイメージはつかめたのではないでしょうか。
ひとつ、具体的に解説してみます。
「1 当事者」の「原告が本件マンションを管理する管理組合」という事実を立証するためには、どのような証拠が必要でしょうか。
右の枠外に記載した通り、【管理規約】にその記載がありますので、【管理規約】という書面(書証)を証拠として提出します。
もう一つ見てみましょう。
「1 当事者」の「□ □□は,上記管理組合の理事長であり原告の代表者である。」という事実を立証するには?
【理事長を選任した記載がある議事録】(総会の議事録や理事会の議事録)が必要です。
証拠の多くは、書面による証拠(書証)です。
書面で立証できない場合、裁判官を納得させることができない場合には、そのほかのもの、たとえば、証言(証人尋問)をして、それを証拠にしたりします。
そもそも、どの「事実」を立証する必要があるのでしょうか。
原告の「請求」(請求の趣旨)を根拠づける主要な事実です。
法律・規約などに記載されている条文などの文言に,どのような事実を立証すべきか、記載してあります。
その条文はどれか。原告が主張したい「請求」が書かれている条文です。
マンション管理費等の請求でいうのであれば,標準管理規約第60条,第25条になります。管理費・修繕積立金の具体的な金額については,別表で記載があると思われます。
管理組合であることについては,区分所有法第3条。
理事長については,管理規約第38条。
それぞれ,60条の前提となる事実が記載されています。
最後に,以下は,国土交通省のHPにある標準規約です。