支払督促を申立てようか?滞納マンション管理費を回収するために支払督促を申し立てるメリット
滞納したマンションの管理費や修繕積立金を回収するため,管理組合様の中には,弁護士に依頼せずに,ご自身で 「 支払督促 」 を申し立てることを選ぶ管理組合様もございます。経験がなければ,裁判手続は結構煩雑だと思います。それでも懸命に書類を整えて申し立てる,自分のマンションは自分で守る!そのような姿勢をもつ管理組合様には好感を覚えます。
ところで,支払督促のメリットとしては,(債務者から異議が出なければ)裁判所に出頭しなくていい,収入印紙が半額程度になる,証拠の提出が不要,といったことが挙げられます。
「債務者から異議が出なければ」と言いましたが,債務者から異議が出る場合ももちろんあります。この場合どうなるのかといえば,通常訴訟(いわば,普通の裁判)に移行することになります。こうなると,印紙は追納しなければならない,一からやり直しとなり訴状に代わる書面やら証拠やらを提出しなければならい,裁判所には出頭しなければならない,すんなり債務名義を取得できると思ったのに,一転して,ややこしい手続になってしまった!ということになります。これが支払督促のデメリットです。
このように異議が出されてしまった段階ではじめて依頼を受けることもあります。
支払督促を得ることができ,これを機に滞納分を支払ってくれる債務者も多々おりますが,中にはそれでも支払ってくれない方も残念ながらいます。その場合は次に強制執行ということを考えていくことになります。ただ,強制執行といっても,なかなか管理組合様において行うには専門的で煩雑だったりします。
その為,このように強制執行の段階に至ってはじめて依頼を受けるケースもあります。
支払督促をご自身でやる理由の一つに,弁護士費用の要素も大いに関係するとは思いますが,弁護士費用についても滞納管理費等の場合には,他の売掛債権など異なり,様々な対応・手当てが考えられるところでもありますので,まずはご相談(無料)をいただければと思います。当該案件において支払督促という選択肢が適切妥当なのか,支払督促のメリット・デメリットなどもご説明致します。
なお,私はと言いますと,事案に応じてどの手続を利用するかをもちろん検討しますが,実際のところ,支払督促を申し立てることはほとんどありません。その理由はまたの機会に掲載しようと思います。