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弁護士 加藤貴士



理事会の機能不全 複合用途型マンション 住居部分と店舗部分との対立

ある複合用途型マンションでの事件です。

管理組合が,店舗部分の区分所有者に対して,各店舗で使用している電気・ガス・水道等の料金を求めた事件です。

この事件の背景には,「理事会の機能不全」の原因がありました。

 

若干脱線します。

複合用途型マンションでは,居住部分の区分所有者と,店舗部分の区分所有者とが混在しています。

標準管理規約では,複合用途型マンション独自の規定があります。

一つは,「住宅一部管理費」「店舗一部管理費」という概念があります。

住宅一部管理費については,住宅部分の区分所有者が,

店舗一部管理費については,店舗部分の区分所有者が負担するという具合です。

店舗部分のゴミ処理費用については,店舗一部管理費でまなかうことになります。

もう一つは,「住宅部会」「店舗部会」,「部会運営細則」という概念があります。

「住宅部会」では居住部分の区分所有者から構成され,そこでの意見を集約する役割を担います。その集約された意見をもとに,理事会・総会で議論がなされるわけです。

 

例えば,「住宅一部管理費」「店舗一部管理費」のような区別がない場合には,全ての区分所有者から集めた管理費を,店舗部分のゴミ処理費用にあてることになる場合があります。住居部分の区分所有者からすれば,自分たちが出したゴミではないのに,管理費を使われることに不公平感が生まれてしまうリスクがあります。実際にこのような不公平感により,事件になったケースもあります。

 

冒頭に戻りますが,今回紹介する事件も,このような事件の背景がありました。

この組合の規約では,店舗部分から3名の理事,住宅部分から3名の理事で構成されることになっていました。ところが,ゴミ処理費用を管理費から出すべきかどうかなど,理事会で議論が紛糾しました。総会では,居住部分の役員が主導権を握り,店舗部分の役員を解任したり,ゴミ処理費用を店舗部分の区分所有者に負担させるようにする内容の規約変更決議をしたりしました。店舗部分の役員に立候補した者の選任決議も否決したりしました。「理事会の機能不全」です。

 

このような機能不全が原因だと思われますが(詳細は不明),各店舗の区分所有者は,店舗で使用している電気・ガス・水道等の料金の支払いをストップしてしまい,裁判での事件になりました。

結局,裁判では,上記規約変更の決議は無効であるなどの判断がなされました。

 

店舗部分と居住部分との利害の対立は,どうしても生じてしまいます。それをうまく処理するための工夫が必要です。標準管理規約の規定もそのうちの一つです。

また,利害の対立は,議論を重ねたり,外部の意見を取り込んだりして,より良い着地地点を見つけることもできます。コミュニケーションの途を遮断して,自分のみにいいような途に突き進むのは,大きなリスクになりかねません。

 

東京地裁判決平成21年5月13日

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