不動産競売 手続に関する若干の説明
マンション管理費・修繕積立金を滞納している債務者のマンションについて,競売を申し立てられたときの,「配当要求」にまつわる若干の説明です。
債権者は,「配当要求」すれば,剰余があるときに,配当を受けることができます。
「配当要求」をすべき終期については,「債権届出の催告書」に記載されています。
では,管理組合には,この「債権届出の催告書」は送られてくるのでしょうか。
この点,裁判所は,管理組合には,送らない運用のようです。仮差押をして,不動産登記簿に載っていれば別のようですが。
他方,抵当権者,仮登記している債権者(不動産登記簿に記載されている債権者)に対しては,競売開始決定があり,競売の登記が入った後に,裁判所から「債権届出の催告書」が送られてきます。
では,管理組合が,競売の開始を知るのは,いつでしょうか。
競売事件が始まると,執行官が現況調査を行います。その現況調査の一貫として,滞納管理費がいくらあるかも調査します。ここで,管理組合や管理会社に,質問書が送られてきます。それで,競売が申し立てられたということを知ることがほとんどだと思われます。
この時点で,配当要求をするのであれば,速やかにする必要があります。
剰余が見込めるのであれば,配当要求すべきでしょう。
余剰が見込めるかどうかはどのように判断するのでしょうか。
まずは,不動産登記簿を見ましょう。法務局で700円で入手できます。
そこには,マンションの購入時期,購入するのに借り入れた金額などが記載されています。そこから,抵当権の被担保債権がいくらかがおおよそ推測できたりします。他に,税金の滞納に関する差押が入っているかどうかも分かります(他の債権者の存在)。そして,不動産業者さんにマンションを査定してもらったりして,不動産の価値がいくらか,当たりを付けます。不動産の価値と,残被担保債権とを比較して,オーバーローンかどうか,どれくらい余剰があるのか,ざっくり推測はできなくはないです。