マンション問題解決の手引き

弁護士がマンションで起こる様々な法律問題を解決します

近時,マンションでは様々なトラブルが発生し,弁護士が対応した方が良い事例も増えてきております。そこで,本サイトでは,弁護士への相談が特に多い管理費・修繕積立金の滞納問題を中心に,ペット問題,迷惑行為(悪臭,騒音…)問題など様々なテーマを取り上げていこうと思います。本サイトが,ご覧頂いている皆様が抱えている問題解決の一助になれば幸いです。

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弁護士 加藤貴士



東洋ゴム工業(株)による免震材料についての不正

 国土交通省のプレスリリース(平成27年3月13日)によれば,東洋ゴム工業(株)による,①大臣認定の内容に適合しない免震材料の販売,②不正な申請による建築基準法に基づく性能評価・大臣認定の取得が発覚しています。 国土交通省プレスリリース(平成27年3月13日)

 平成27年3月13日の発表によれば,大臣認定不適合が判明した免震材料が設置された建築物の内,25棟は共同住宅です。国土交通省の対応として,大臣認定不適合が判明した免震材料が設置された建築物の所有者に,その旨を早急に説明することなどが東洋ゴム工業(株)に指示されていますが,説明を受けた住人の方々の心情は察するに余りあるところです。

 東洋ゴム工業(株)の今後の被害者対応には期待したいと思います。

管理組合様のために支払督促申立のサポートをはじめます

これまでにも,当ブログ内で支払督促の申立書の作成方法,遅延損害金の計算方法などを紹介したことがありましたが,遅延損害金の計算方法も含んだ支払督促の申立(作成)に関するお問い合わせを頂くことも多いことから,この度,支払督促の申し立てに関し,以下のサポート行うことに致しました。

 

滞納管理費等「支払督促」申立サポート 手数料1件 4万円(税別)

管理費・修繕積立金,駐車場使用料遅延損害金,違約金などの金額算出,裁判所に提出する支払督促申立書の作成,資格証明書など申立に必要な添付書類の準備,支払督促発付後の仮執行宣言申立書の作成など,支払督促の申立をサポートします。
もちろん滞納状況の聴取,資料のご提供,資格証明書の作成(理事長様の署名捺印)などにはご協力頂かなければなりませんが,基本的には当方にて準備致します。全ての準備が整いましたら申立書類一式を,内容をご説明の上お渡し致しますので,書類内容を最終チェックして頂ければ,あとは封筒に入れ発送するだけです。 
管轄裁判所はどこなのか,申立に必要な印紙はいくらなのか,予納郵券はいくらの切手を何枚ずつ準備しないといけないのか,請求の趣旨・原因はどのように記載すればいいのか,遅延損害金は今いったいいくらなのか,など支払督促申立にあたっては慣れていなければ負担となる作業が多くあります。
このように支払督促とはいえ一般の管理組合様には負担が重く,滞納初期段階からの法的な督促になかなか踏み切れず,中長期の滞納状況を生じさせてしまった管理組合様も少なくないと思います。
早めに支払督促に踏み切り,長期滞納の目を予め摘むことも管理組合様においては1つの選択肢といえます。
支払督促のメリット・デメリットについては当ブログでも紹介しておりますので,支払督促の申立を検討する際には,こちらの記事もご確認下さい。

なお,この支払督促サポートは管理組合様の代理人となるものではなく,裁判所や相手方からの問い合わせについての代理,窓口になるサービスではありません。あくまで書類を作成し申立をフォローさせて頂くものです。また,督促異議を出され通常訴訟に移行した場合は本サポートの適用外となります。ご注意下さい。
サポート内容につき,ご不明な点があれば,遠慮無くご連絡下さい。

<支払督促申立サポート費用>

①手数料 1件 4万円(税別) 

※同時に複数件をご依頼頂く場合

 2件目以降は1件3万円(税別)

②実費 通信費,裁判所に納める印紙,予納郵券など    

※印紙代は請求金額に応じます。例えば,

 30万円の請求であれば印紙代は1500円

 50万円の請求であれば2500円

 100万円であれば5000円…

          

管理費滞納者に転嫁できる弁護士費用とは

滞納管理費等の回収に掛かる弁護士費用は,滞納者に負担させることができます。もちろん管理規約での定めは必要です。

管理規約でどのように定めればいいのか,これについては国土交通省作成にかかる標準管理規約第60条2項に規定があります。

「組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には,管理組合は,その未払金額について,年利○%の遅延損害金と,違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して,その組合員に対して請求することができる。」

最近は,相談にみえる管理組合さんの管理規約に,弁護士費用等を滞納管理費等に加算して滞納者に請求することを可能にするための違約金条項が,標準管理規約にならいしっかりと盛り込まれていることも多くなってきました。

ただ,違約金としての「弁護士費用」といっても,どこまでの弁護士費用をカバーするのか,その範囲については必ずしも一義的とはいえませんでした。

その必ずしも一義的ではない「弁護士費用」の内容について,東京高裁での判断が下されておりますので,ご紹介しておきます。

平成26年4月16日東京高裁判決(判例時報2226号26頁)

事案は,滞納管理費等の請求ですが,これに加え,第1審原告が,同被告に対して,弁護士費用として102万9565円(内訳:着手金32万6846円,報酬金65万3693円,消費税4万9026円)を請求したところ,

原審(平成25年10月25日東京地裁判決)は,

「弁護士費用は確定金額ではないことからすると,実額ではなく,当該事案につき,その請求等に要する相当額ということになり,これは裁判所によって認定されるべきものとなる。しかるところ,本件訴訟で請求されている管理費等の額,被告の対応,その他本件における諸般の事情を総合考慮すると,同額は50万円とするのが相当である。」

と判断を下しました。

つまり,管理規約で管理費等の滞納分への加算が認められる「弁護士費用」とは,管理組合が実際に弁護士に負担する金額ではなく,あくまで裁判所が相当と判断する金額だとしました。

ただ,これに対し,控訴審(平成26年4月16日東京高裁判決)では,

「このような定めは合理的なものであり,違約金の性格は違約罰(制裁金)と解するのが相当である。したがって,違約金としての弁護士費用は,上記の趣旨からして,管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用と解される」

との判断を下しました。

つまり,管理規約で管理費等の滞納分への加算が認められる「弁護士費用」とは,裁判所が相当と判断する金額ではなく,管理組合が実際に弁護士に負担する金額だとしました。

また,このように解することとなると滞納者に過度な負担を強いることになる,という滞納者側の主張については,「そのような事態は,自らの不払い等に起因するものであり,自ら回避することができるものであることを考えると,格別不合理なものとは解されない。」と退けております。

ただ,上記控訴審判決では,「管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用」としつつも,管理組合側が求めた弁護士費用について「不合理であるとは解されない」とも判断しており,当然のことながら,弁護士費用であればなんでもかんでも無制限に滞納者に負担させることができる,というものでもありませんので注意してください。

また,上記控訴審判決では,「違約金としての弁護士費用」を一義的に明確にするために,管理規約上の文言について,単に「違約金としての弁護士費用」とするのではなく,「管理組合が負担することになる一切の弁護士費用(違約金)」と定めるのが望ましいとも付け加えております。

今回の東京高裁判決を受け,今後,管理規約の設定・改正にあたり標準管理規約第60条2項を盛り込む際には,表現方法など違約金条項の明確化を意識されるとよろしいかと思います。

理事会の機能不全 複合用途型マンション 住居部分と店舗部分との対立

ある複合用途型マンションでの事件です。

管理組合が,店舗部分の区分所有者に対して,各店舗で使用している電気・ガス・水道等の料金を求めた事件です。

この事件の背景には,「理事会の機能不全」の原因がありました。

 

若干脱線します。

複合用途型マンションでは,居住部分の区分所有者と,店舗部分の区分所有者とが混在しています。

標準管理規約では,複合用途型マンション独自の規定があります。

一つは,「住宅一部管理費」「店舗一部管理費」という概念があります。

住宅一部管理費については,住宅部分の区分所有者が,

店舗一部管理費については,店舗部分の区分所有者が負担するという具合です。

店舗部分のゴミ処理費用については,店舗一部管理費でまなかうことになります。

もう一つは,「住宅部会」「店舗部会」,「部会運営細則」という概念があります。

「住宅部会」では居住部分の区分所有者から構成され,そこでの意見を集約する役割を担います。その集約された意見をもとに,理事会・総会で議論がなされるわけです。

 

例えば,「住宅一部管理費」「店舗一部管理費」のような区別がない場合には,全ての区分所有者から集めた管理費を,店舗部分のゴミ処理費用にあてることになる場合があります。住居部分の区分所有者からすれば,自分たちが出したゴミではないのに,管理費を使われることに不公平感が生まれてしまうリスクがあります。実際にこのような不公平感により,事件になったケースもあります。

 

冒頭に戻りますが,今回紹介する事件も,このような事件の背景がありました。

この組合の規約では,店舗部分から3名の理事,住宅部分から3名の理事で構成されることになっていました。ところが,ゴミ処理費用を管理費から出すべきかどうかなど,理事会で議論が紛糾しました。総会では,居住部分の役員が主導権を握り,店舗部分の役員を解任したり,ゴミ処理費用を店舗部分の区分所有者に負担させるようにする内容の規約変更決議をしたりしました。店舗部分の役員に立候補した者の選任決議も否決したりしました。「理事会の機能不全」です。

 

このような機能不全が原因だと思われますが(詳細は不明),各店舗の区分所有者は,店舗で使用している電気・ガス・水道等の料金の支払いをストップしてしまい,裁判での事件になりました。

結局,裁判では,上記規約変更の決議は無効であるなどの判断がなされました。

 

店舗部分と居住部分との利害の対立は,どうしても生じてしまいます。それをうまく処理するための工夫が必要です。標準管理規約の規定もそのうちの一つです。

また,利害の対立は,議論を重ねたり,外部の意見を取り込んだりして,より良い着地地点を見つけることもできます。コミュニケーションの途を遮断して,自分のみにいいような途に突き進むのは,大きなリスクになりかねません。

 

東京地裁判決平成21年5月13日

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