代位行使 管理会社の管理組合に対する未払管理委託料請求と,組合員の滞納管理費
「代位行使」という制度についての解説です。
どのような制度でしょうか。
「管理組合B」が「管理会社A」に支払うべき管理委託料を支払っていないとします。
一方で,「組合員C」が「管理組合B」に支払うべき管理費を支払っていません。
管理会社A → 管理組合B
管理組合B → 組合員C
「管理組合B」に資力がない場合には,「管理会社A」が「管理組合B」の代わりに組合員に対して管理費を徴収できる,そういう制度が「代位行使」という制度です。
(民法423条)
管理会社A → → → 組合員C
法律上は裁判外でも行使することはできるのですが,組合員からすれば本当に管理会社に払って良いものか判断しかねるのが実情ではないでしょうか。
管理会社が代位行使をするのであれば,裁判で判決を取るなどして,お墨付きをもらうのがよいと思います。
実際,このような裁判がありました(東京地裁平成15年9月2日)。
この事例では,管理会社が未払管理委託料を管理組合に請求したのですが,
これに対して,管理組合が管理会社の債務不履行を理由に損害賠償をした事例です。
結論としては,管理会社には債務不履行はなく,管理会社の請求が認められる形になりました。
余談ですが,なぜ管理組合は管理委託料を支払わなかったのでしょうか。
この物件はリゾートマンションで,管理組合が元々設立されて折らず,原告管理会社が業務の委託を受けたときに初めて設立されたのですが,理事のなり手がおらず,管理組合業務は形骸化し,管理費の滞納がかさみ,管理組合の財政が逼迫してしまった,という事情がありました。