訴訟で弁護士費用を主張する 裁判例
マンション管理費請求訴訟において,弁護士費用の主張に関する裁判例の紹介です。
弁護士費用に関する規定が管理規約に存在していることが前提ではありますが,訴訟では,弁護士費用の支払を求める主張をすれば,その内容の判決を取得することが可能です。
今回紹介する裁判例は,弁護士費用の支払を求める部分の主張が不十分であった(ただし,実際に原審での主張がどの程度のものであったのかは明らかではありません。)ことから1審では棄却されてしまい,その為これを不服として控訴された事件です。この記事の最後にリンクを張りました。
具体的に,何をどの程度主張すれば良いのでしょうか。
まずは,標準管理規約であれば第60条第2項に記載されているとおり,組合員が納付すべき金額を納付しない場合に,管理組合が,弁護士費用を請求することができる旨を主張しなければなりません。
その上で,管理組合がマンション管理費等を回収するために弁護士と委任契約を締結したこと,さらに,弁護士費用として金○○円かかることを具体的に主張する必要はあるでしょう。
そうでないと,たとえ欠席判決であっても,弁護士費用に関して,判決内容に盛り込んでもらうことはできません。(→ マンション管理費等請求訴訟と「欠席判決」 参照)
上記控訴事件では,最終的には,判決で弁護士費用の支払いを被控訴人である滞納者に命じていますが,訴訟費用については,そもそも控訴に至った理由が,原審での控訴人の主張が不十分であったことに起因していることから,控訴審における訴訟費用は控訴人の負担とされてしまっています。
訴訟提起の際には,この裁判例を教訓に,気を付けたいところです。
裁判所のHPです。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=80844&hanreiKbn=04