わかりやすい訴訟の提起(マンション管理費滞納) ⑤訴状の記載(請求の原因)
今回は,訴状の記載のなかの,「請求の原因」についてです。
「請求の趣旨」で記載した「請求」の根拠・理由です。
「請求の趣旨」を以下のように記載したとします。
「 被告は,原告に対して,次の金員を支払え。
・金160万円
・上記金額の内金 140万 円に対する平成25年2月15日から 支払い済まで年14.6% の割合による金員」
「請求の原因」では,これを根拠づける訳です。
概略になりますが,記載すべき事項を例にあげてみます。
請 求 の 原 因 |
1 当事者 原告は,東京都△区△所在「△△マンション」(本件マンション)を管理する管理組合である。 □□ □□は,上記管理組合の理事長であり原告の代表者である。 被告×× ××は,本件マンションの区分所有者であり,原告の組合員である。
2 被告の管理費等の支払義務 本件マンションの管理規約により,被告が毎月納入すべき具体的な金額は,次のとおりである。 管理費 金○円 修繕積立金 金○円 合計 金○円
また,本件マンションの管理規約により,区分所有者が上記支払期日までに納付すべき金額を支払わない場合は,管理組合は,当該未払い金額についてその期日の翌日から支払日まで年14.6パーセントの遅延損害金を付することができることとされている。
3 管理費等の滞納 被告は,平成 年 月分から,本件マンションの管理費等を支払わなくなった。
4 よって,原告は,被告に対し, 平成 年 月分から平成 年 月分までの滞納管理費等合計金140万円と,毎月の滞納管理費等合計額に対する各支払期限の翌日から平成25年2月14日までの年14.6パーセントの割合による遅延損害金合計金20万円, 及び平成 年 月分から平成 年 月分までの滞納管理費等合計金140万円に対する平成25年2月15日から支払済みまで年14.6パーセントの割合による遅延損害金の各支払を求める。
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←原告
←理事長
←被告
←支払義務
←遅延損害金の定め
←滞納している事実
←まとめ
だいたい,このようなことを記載すれば,「請求の趣旨」の請求を根拠づけることができます。
以下,若干詳しく説明します。
1 当事者について
本件の請求が認められるためには,「債務者が義務を負っており」,「その義務を怠っている」ということを証明する必要があります。
このように,そもそも,義務があるのかを証明する必要があります。
義務があるといえるためには,前提として,原告が債権者であり,被告が債務者であることが必要です。本件に言い換えると,原告が本件マンションの管理組合であり,被告がその組合の組合員,本件マンションの区分所有者である必要があります。
したがって,「当事者」の部分では,これらの事実を主張しております。
2 支払義務について
上記の通り,義務があることを立証する必要があります。ここではその「支払義務」の存在を主張しています。規約にその記載があるので,それを主張すれば良いでしょう。
あわせて,遅延損害金についても,規約を指摘して,遅延損害金を支払う義務の存在を立証することになります。
3 滞納
滞納というのは,上記の義務に違反しているという事実です。この事実を主張して,ようやく,被告が原告に対して義務を怠っているという事実の主張が完成します。
以上,概略ですが,もちろん,請求するもの,個々の事情によって,記載すべき事項は変わってきます。